第2章 自分の心理学 〜自分との付き合い方を知ろう〜

本章では、自分との付き合い方をテーマに解説します。例えば感情はどうやってコントロールすればいいのか、自分の怒りや相手の怒りにはどう向き合えばいいのか、思い込みやマイナス感情から解放させるにはどうすればいいのか、自分の人生のテーマにどう取り組んだらいいのか・・・など、さまざまな場面に対しての具体的な考え方や解決策を紹介します。
こんな場合に役立つ!
✔️自分の感情をうまくコントロールできない
✔️怒りの気持ちからラクになりたい
✔️落ち込みグセをなんとかしたい
✔️自分の人生のテーマについて考えてみたい
感情の役割と目的
自分を知るには、まず自分の環境を理解することが重要です。客観的に感情というものを捉えてみましょう。感情には3つの役割があります。
①感情は、身体・思考・行動と密接に関連している
②感情は、思考が狙う「理性的回路」に対して「非理性的回路」の役割を狙っている
③感情は、行動に向けて燃料を供給する役割を果たしている
ポイント
感情と思考のつながり
「こうあるべきだ」という考え(思考)が裏切られたことによって、怒りの感情が一気に湧いてくるのは、思考と感情がつながっている証拠
ポイント
感情と行動とのつながり
「人は、悲しいから泣くのではなく、泣くから悲しいのだ」(ウィリアム・ジェームス)
これは、「悲しみ」という感情が「泣く」という行動をつくりだすのではなく、「泣くという行動が悲しみの感情を引き起こす」という説。同様に、「楽しいから笑うのではなく、笑っているうちになんだか楽しくなってきてしまう」という説もある
劣等性、劣等感、劣等コンプレックスってなんだろう?
アドラー心理学でもよく出てくる「劣等」には3つの用語があります。順に解説していきましょう。
「劣等」が使われる3つの用語の定義
劣等性:身体の器官が客観的に見ても劣等である事実
劣等感:主観的に、自分のどこかが尖っていると感じること
劣等コンプレックス:自分が劣等であることをひけらかして、人生で取り組まなければならない課題(ライフタスク)を避けようとすること
身体の感覚器官や内臓、骨格など、身体に生まれながらの障害があること、あるいは人生の途中でハンディ・キャップをもってしまった事実をさし、アドラーはこれを「器官劣等性」と呼んだ
劣等感劣等感というと他者との比較を連想するが、アドラー心理学では、自分の理想や目標と現実とのギャップから湧いてくる陰性感情を総称して、劣等感と呼んでいる

劣等コンプレックスは、アドラーによると、「異常な劣等感」で「ほとんど病気」であり、「劣等感の過度な状態に他ならない」